メイド・マリアン

使用ツール:コットマン水彩紙、カラト水彩色鉛筆、アルブレヒトデューラー水彩色鉛筆、W&Nアーチスト透明水彩、パイロット証券用インク、丸ペン

とある国の姫君は、旅の半獣に恋をした。
十六夜の月の夜に娘と半獣は自由を求めて旅立った。
しかしすぐに城の追っ手の者達に追付かれ、娘は一国の姫君でありながら獣を愛したとして、
首をはねられた。
半獣は鎖に繋がれ、猟犬に引き裂かれたが、死に切る事ができなかった。
半獣は太古の森と獣の神の末裔だったからだ。

半獣は、痛む身体を引きずり、娘の亡骸を集めると、
様々な文化や人々が行き交う港町へ向かい、
海や港、美しい坂道の街並みが見渡せる丘に上に娘を埋葬した。

そして獣は己の片方の角を折り、娘の亡骸を埋めた場所に突き刺すと、
いにしえの霊の歌を謡った。

娘がいつも異国の風や街の人々と語り合う事が出来る様に願いながら。

角は桜の若木となった。

半獣は荒野に去って行ったが、桜の木となった姫君は
今も彼の帰りを待っている。
港で時々聞こえて来る、荒野の歌をききながら…

港で人々に愛されている丘の上の桜の木の言い伝え。


2012.7.9

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